一丸東京
代表平川 日出夫さん
「一丸東京」の事業を教えてください
『468(シロヤ)一丸東京』というレディースファッションブランドを夫婦二人で企画・開発・販売しています。 “シンプルをデザインする”をコンセプトにした白と紺をベース色としたデイリーウェアで、通常は廃棄処分されてしまうコットン生地を原料に使用してます。値札は小ロット生産が難しいアイテムなので自分たちで手描きをし、商品を入れる紙袋については不要な生地を使ってエコバッグを作り、商品を入れて販売するなどサステナブルにも少しだけ貢献した商品でもあります。専門ショップはなく、ウェブや通販番組、ポップアップストアなどで販売しています。
創業のいきさつを教えてください。
ファッションデザイナーとして35年ほど働いてきましたが、同居する家族が病気になってしまい、自宅でできる仕事に切り替えようとしたのが起業の始まりです。当初はアパレル会社などから委託されて服のデザインをする代行業や、経営困難に陥ったアパレル会社へのコンサルティング業を始めました。その一方で、自分でリスクを取ることを経験しないと、提案にも説得力が出ないという実感もありまして、2018年10月に自分たちでブランドを立ち上げ、実際に運営することとしました。
どのような計画から始まりましたか?
アパレル生産は、生地やボタンなどの購入費用や製造工場への支払い、合同展示会の出展費用など数百万円の資金が必要です。販売して資金を回収できるのも4カ月以上は先になります。自己資金の用意はありましたが、他に借りられたらいいなと思い、ネットで検索して「女性・若者・シニア創業サポート事業」を知りました。当時56歳でシニア枠の年齢条件に合致したので連絡したところ、事業支援をしてくれるイー・マネージ・コンサルティング協同組合さんを紹介いただきました。借入先は世田谷信用金庫さんです。
創業後どのような課題や悩みを持ちましたか?
原宿駅前に商業施設ができる計画が持ち上がり、そこに短期間営業するポップアップショップを出すというお話をいただきました。大きなチャンスであり、期待しながら商品を作りましたが、コロナ禍でまったく商品は売れませんでした。在庫はその後、別のポップアップショップからお声がけいただいてなんとか販売することができました。
現在の事業の状況は?
最も影響が大きかったのがある通販番組への出演です。番組出演には一定数販売するための資金が必要でしたが、旧知の生地商社と協業することで資金と原料を調達することができました。1時間の放映でしたが評判が良く、番組終了前に売り切れてしまうほどでした。その後も出演し、多くのオーダーをいただいています。その他、各地の合同展に取り上げていただいています。
本事業からどのような支援を受けましたか?
アドバイザーから経理上の知識をいただいたりしています。ショップを持ってもいいかなと思い、相談したところ補助金制度を教えていただきました。慎重に検討を進めています。
創業をしようとしている方へメッセージをお願いします。
これまでのキャリアを無駄にしないということでしょうか。人によっては退職後の保障も十分ではなく、やむなく別の仕事をやる方も多いと思いますが、キャリアを活かして起業してみるのもひとつの選択肢です。一方で、まだ創業サポート事業を知らない方も多いので、もっと知られるようになれば、起業を実現する方も増えてくるのではないかと思います。